お子さんの「塩化ナトリウム中毒」に注意!201707_Yahoo

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2017年7月度のYahoo最多検索数4位となった急上昇ワードは、
「塩化ナトリウム中毒」です。

詳細データは以下をご覧下さい。

ランクイン回数トータルポイント詳細ワード
1回 
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塩化ナトリウム中毒

類義語でのランクインなし

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「塩化ナトリウム中毒」とは何か?

まずはお約束の用語の確認から。

①:塩化ナトリウムとは

塩化ナトリウム(えんかナトリウム、英: sodium chloride)は化学式 NaCl で表されるナトリウムの塩化物である。単に塩(しお)、あるいは食塩と呼ばれる場合も多いが、本来「食塩」は食用、医療用に調製された塩化ナトリウム製品を指す用語である。式量58.44である。
人(生体)を含めた哺乳類をはじめとする地球上の大半の生物にとっては、必須ミネラルであるナトリウム源として、生命維持になくてはならない重要な物質である。
(Wikipediaより引用)

もっと知りたいと思った方は、以下記事をご覧下さい。

本記事では、塩化ナトリウム=食塩として取り扱います。

②:塩化ナトリウム中毒とは

毎度のお約束となっていますが(苦笑)、
一旦バズってしまうと公的機関や専門家が書いた記事が埋もれてしまうんですよ…

筆者はGoogle派ですが、Google検索結果の最初の数ページはほぼ塩化ナトリウム中毒事件を扱ったもの。やはりゴシップ強しですね。。。

…色々と調べた結果、

「塩化ナトリウム中毒」=「食塩中毒」

と読み替えて問題ないようです。

結局辿り着いたのがWikipediaの「高ナトリウム血症」
この記事が、報道に一番近いニュアンスだと思います。

「塩化ナトリウム中毒」がランキング入りした理由

理由は下表にまとめましたので、先ずはご覧になって下さい。

2015年8月2017年7月備考
・1歳の幼児が塩化ナトリウム中毒で死亡
・幼児に食塩水を与えたのが死因とされる
・幼児に食塩水を与えた当時の保育園経営者が逮捕  
・幼児に与えた食塩の量について、容疑者の供述に虚偽の可能性あり。警察にて調査中

本件に関する報道記事は、以下をご覧下さい。

異説:死因は塩化ナトリウム中毒ではなく熱中症?

本記事執筆のために検索していたところ、以下の記事を発見しました。

2017年7月20日、朝日新聞など各マスコミが次の報道を発信しました。『食塩4.5~5g摂取か 1歳児中毒死、ほぼ致死量相当』  次に、朝日新聞デジタルのサイ…

サイトオーナーの「hisacchi」さんは20年以上も救急医を務めていらっしゃる方で、
救急現場を熟知した医師の立場からこの事件について意見を述べられています。

詳細は上記記事をご覧頂ければと思いますが、

被害者の幼児に「美味しい・不味い」の味覚が正常だったという前提で
(味覚障害、その他異常があったという報道は見当たらない為)

  • 大量の食塩入りの飲み物を自ら進んで飲むとは思えない
  • 嘔吐したことにより、塩分の一部は体外に排出されたはず
  • 単なる塩分投与により血液中の食塩濃度を上げることは難しい
という冷静な状況推理と医師としての経験を記した上で、

  • 水分不足が血液中の塩分濃度を上げる
  • 嘔吐したあとが見られるという事実から、脱水症状となっていた可能性がある
  • 熱中症が死因ではないか?

と述べています。

答えは続報を待つしかありませんが、

  • 事件が起きたのが8月であること
  • 幼児が体調不良を訴えた為、食塩入りの飲み物を与えたと容疑者が供述していること
ということもあり、直接の死因がどちらであろうと、熱中症のリスクにも十分留意する必要があると言えるでしょう。

栄養素の摂取基準値:厚生労働省レポートについて

話を整理する上でも、塩分、その他栄養素の摂取量に明確な基準はあるのでしょうか?
調べたところ、厚生労働省がレポートを作成・開示してくれていました。

乳幼児については個別にレポートがあって(詳細以下参照)

<「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書>乳児・小児

新生児から17歳までの基準値をまとめてくれています。
小さなお子さんがいるご家庭の方は、面倒でも一読することをお勧めします。

「塩化ナトリウム中毒」事件の考察

この話、最初はシンプルだと思っていたのですがかなり難しい問題ですね。

「小さな子供に塩を与えるな」では済みません。

しかし、せっかく授かった新しい生命です。
難しかろうが覚えることが多かろうが私たち一人一人が正しい知識を持ち、
乳幼児を守る必要があります。

筆者は、本件のポイントは以下3点だと考えています。

①乳幼児に塩分を与えるリスクを理解すること
②脱水症状が引き起こすリスクを理解すること
③塩以外に、与えてはいけないものを理解すること

①乳幼児に塩分を与えるリスクを理解すること

シンプルかつストレートなメッセージ(警告)を共有する

厚生労働省のレポートによると、乳児の1日当たりの塩分摂取基準は

  • 生後0か月~5か月 :0.3g
  • 生後5か月~11か月 :1.5g
となっています。

乳児は母乳/ミルクから塩分を摂取しているので、個別に塩を与える必要はありません。

「乳幼児に塩分入りの飲み物を与えれば死ぬ」

このくらいシンプルかつストレートに記憶しておけば良いと思います。

…何故ですって?
乳幼児にお兄ちゃん・お姉ちゃんがいる家庭なら、世話を手伝うこともありますよね。

良かれと思ってスポーツドリンク等を飲ませてしまう可能性も、
ゼロではありません。

大人は理解出来ても、子供が理解出来なければ意味はありません。
誰もが共有出来る表現こそが望ましいのです。

ちなみに、厚生労働省のレポートには乳幼児の塩分摂取に関する考え方について、
以下の通り記載されています。

 0~5 か月児の目安量の算定において、母乳中ナトリウム濃度の平均値として 135 mg/L10,11)を採用し、基準哺乳量(0.78 L/日)12,13)を乗じると、1 日当たりのナトリウム摂取量は 105 mg/日(4.6 mmol/日、食塩相当量 0.27 g/日)となる。これを根拠に目安量を 105 mg/日(食塩相当量 0.27g/日)、丸め処理を行って 100 mg/日(食塩相当量 0.3 g/日)とした。

6~11 か月児では、母乳中のナトリウム濃度の平均値(135 mg/L)10,11)、6~11 か月の哺乳量(0.53 L/日)14,15)、離乳食の全国実態調査データ 16)から推定すると、母乳及び離乳食からのナトリウム摂取量は、それぞれ、72 mg/日(135 mg/L×0.53 L/日)、487 mg/日となる。これらを合計した値(559 mg/日)より、目安量を 600 mg/日(食塩相当量 1.5 g/日)とした。

(「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書 II 各論 ミネラル(多量ミネラル)より引用)

離乳食中の塩分を把握する

次に、離乳食に移行した幼児について。

幼児のうちはとにかく塩分は控えめが良い。
ただ、離乳食自体にも塩分が含まれているはず。

離乳食と塩分摂取に関する良い情報が無いかと検索していて見つけたのが、
以下HALさんのサイトです。

医師が運営・執筆。女医の出産・育児を通して、医学的なエビデンスを交えて情報発信していきます。

HALさんの記事にあった「日本ベビーフード協議会」のウェブサイトを確認したところ、
離乳食の塩分をはじめとした自主規格を見つけることが出来ました。

国内で販売されているベビーフードのほとんどが、日本ベビーフード協議会の所属企業が
製造しているもの。

つまり、日本ベビーフード協議会の自主規格を遵守しているということになります。
上記のサイトから摂取量を算出すれば、塩分摂取量が適切か否かが分かるでしょう。

離乳食を与えている間も、

・塩分は離乳食から摂取するのが基本
・不足分はシビアに計算した上で与える
・分からなければ専門家に相談

と認識しておけば、生命に関わる事故発生のリスクは低減するはずです。

子供を授かった機会に味付けを見直す

これは極論かもしれませんが、
あなたのご家庭に子供が生まれたら、後々に備えて味付けを見直してはいかがでしょうか?

と言うのも、厚生労働省のレポート
平成27年「国民健康・栄養調査」の結果」によれば

日本人の塩分摂取量の平均は10g/日(実績値)

対して、日本人の食事摂取基準(2015年版)で定めた塩分摂取の目標値は

  • 男性:8g/日
  • 女性:7g/日

目標値以上に塩分を摂取している。
これが理由その1です。

ちなみに、上記目標値は12歳以上が対象です。
離乳食から普通の食事に移行する子供の年齢は大体1歳と考えると、

1歳児の塩分摂取量の目標値:3~3.5g/日に対し、10g/日の塩分摂取量は異常値とも言える。

これが理由その2です。

…味付けが濃い方が美味しい料理もあるので、悩みどころではあると思いますが(笑)

②脱水症状が引き起こすリスクを理解すること

生まれたばかりで寝たきりの赤ん坊でも、結構な汗をかいていますよね。

成長とともに動き出したり、歩き出したりすれば運動量が増えるので、
水分補給は重要なポイントになります。

…で。

先ほど取り上げた「hisacchi」さんのブログを拝見して感じたことですが、
乳幼児に主食(母乳/ミルクや離乳食)以外の塩分摂取をさせないことで塩化ナトリウム中毒は予防出来ても、熱中症の予防にはなりません。

  • 水分不足になると誰もが熱中症になるリスクがある
  • 水分は蒸発するが、塩分は蒸発しない

水も飲み過ぎはダメだと言いますが、一度に大量の水を与えなければ良いだけの話です。
量より質でこまめな水分補給を心掛け、

  • 熱中症を予防する
  • 血液中の塩分濃度を適正に保つ
という取り組みも重要と言えるでしょう。

③塩以外で与えてはいけないものを理解すること

塩以外にも、

  • 細菌感染のリスクがあるため摂取を避けるべきもの
  • 窒息しやすいので摂取を避けるべきもの
  • アレルギーを起こしやすい食品
などが取り上げられていますね。

本記事の趣旨から外れるのでこれ以上は触れませんが、大切なお子さんを守っていくためにも

「専門家が書下ろし・又は監修した」

確かな情報を根拠に食事を与えていく必要があるでしょう。

あとがき:「確かな情報」を発信し、拡散する必要性

まぁ、毎度のことですが…
「塩化ナトリウム中毒」に関する記事を見ていても思ったのですが、

「医師監修」と記された記事でも真逆の記事があるんですよ。

例えば、

乳幼児に塩分を与えて良いと書いている記事もあれば、
NGと書いている記事もある

…一体どちらが正しいのか?

良くない例えで恐縮ですが、あなたのお子さんに何らかの異常が起こったとしましょう。

救急車を呼んで待っている間、何かしてあげられることは無いかと検索をした結果、
ネット上で言ってることがてんでんバラバラだったら…

それこそパニックになってしまうでしょう。

間違っている方を非難する気はありません。
また、そんな必要も無いと思います。

ですが、間違いなら修正するか、ページを削除する必要はあると思います。

公的機関や専門家のレポートや記事が100%正しいとは思えませんが、
一般人の記事より信ぴょう性が高いのは間違いないはず。

公的機関や専門家は「確かな情報」を発信し、一般人は

  • 「確かな情報」を入手し、
  • 「確かな情報」のまま拡散する。

困ってからでは遅いのです。
インターネット上の情報についても、当たり前のことが当たり前に出来るよう、
少しずつでも変えていきたいですね。